イスラエル側が人質の解放などに向けた交渉で合意が実現すればラファへの地上作戦を停止する姿勢も示すなか、29日にもエジプトで行われるとみられるイスラム組織ハマスと仲介国の協議が焦点となっています。
※中東情勢に関する日本時間4月29日の動きを随時更新してお伝えします。
バイデン大統領 ネタニヤフ首相と電話会談で戦闘休止など交渉
アメリカ・ホワイトハウスは28日、バイデン大統領がネタニヤフ首相と電話で会談したと発表しました。
このなかで、イスラエルとイスラム組織ハマスの間で行われている、ガザ地区での戦闘の休止と人質の解放に向けた交渉について検討が進められたということです。
さらに、イスラエル軍がガザ地区での今後の作戦計画を承認し、ラファへの地上作戦の準備を進めているとみられる中、バイデン大統領は、自身の立場を改めて明確にしたということです。
バイデン大統領はこれまでも地上作戦の実施に深い懸念を示していて、今回の会談でもそうした懸念を伝えたものとみられます。
イスラエル軍の攻撃でスタッフ7人死亡のNGO 支援活動再開を発表
今月初めにイスラエル軍による攻撃でスタッフ7人が死亡したことを受け、ガザ地区での食料支援活動を中断していた国際的なNGO「ワールド・セントラル・キッチン」は28日、声明で支援活動を再開すると発表しました。
この中でNGOは「ガザ地区の人道状況は依然として悲惨だ。私たちはできる限り多くの人々に食料を届けるため、変わらぬ力と尊厳をもって活動を再開する」と明らかにしました。
今後の支援についてはおよそ800万食分の食料を載せた276台のトラックを、ガザ地区南部のラファ検問所から搬入する準備をしているほか、海上からの輸送も行う予定だということです。
一方、スタッフが死亡したことをめぐっては、イスラエル軍が深刻な過ちだったと認めて謝罪したとしたうえで「7人の友人や同僚を失い、私たちは今も悲嘆に暮れている。公平で国際的な調査の実施という私たちの要求は変わらない」と訴えました。
そして活動を再開した経緯について「飢餓の危機の中、活動を終わらせるのか、それとも、支援活動の関係者や民間人が脅迫され、殺されていることを知りながら、活動を続けるのか決断を迫られた。あらゆる観点から慎重に検討を重ね、最終的に人々に食料を提供するという私たちの使命を継続しなければならないと結論づけた」と説明しています。
米国務長官が中東に出発 関係国と協議へ
アメリカのブリンケン国務長官は28日、中東のサウジアラビアに向け、首都ワシントン郊外の空軍基地を出発しました。
30日にかけてサウジアラビアを訪問し、イスラエルとイスラム組織ハマスの間で戦闘の休止と人質の解放に向けた交渉が続く中、関係国と協議を進めることにしています。
ホワイトハウスのカービー大統領補佐官はABCテレビのインタビューで「ハマスは交渉を完全に拒否したわけではない。イスラエル側からの提案を検討中だ」と述べた上で「交渉がまとまれば、6週間、ガザ地区で南部ラファを含め戦闘が止まる。その後、それが長く続くことを期待している」と述べ、恒久的な停戦を目指す考えを改めて示しました。
ハマス代表団 29日にもエジプト訪問 イスラエル提案を協議へ
イスラエル軍は、多くの避難者を含めおよそ120万人が暮らすガザ地区南部ラファへの地上作戦を行う構えで、28日、軍トップのハレビ参謀総長が今後の作戦計画を承認したと発表しました。
その一方、ハマスとの間ではエジプトなどの仲介で戦闘の休止と人質の解放に向けた交渉も行われていて、イスラエル側は合意が実現すればラファへの地上作戦を停止する姿勢も示し、交渉の行方に注目が集まっています。
複数の地元メディアはハマス関係者の話として、ハマスの代表団が29日にもエジプトを訪れて、イスラエル側からの新たな提案について協議をすると伝えています。
この提案についてアメリカのニュースサイト、アクシオスは、イスラエルは人質が解放されれば、戦闘の終結について協議する用意があると、ハマスに初めて提案したと報じていて、これまで一貫して停戦を求めていたハマスがどのような回答をするかが焦点になっています。
一方で、ガザ地区で深刻な人道状況が続くなか、アメリカが海からの食料などの搬入に使う仮設のふ頭の建設を始めていて、イスラエル軍は27日、その建設現場だとする映像を公開しました。
イスラエル軍はアメリカ中央軍などとともに準備を進めているとしていて「人道支援物資を増やすために全力を注いでいる」とアピールしていますが、WFP=世界食糧計画はガザ地区北部で住民の70%が壊滅的な飢餓に直面しているとみられると懸念を示すなど、食料支援が急務になっています。